体育館

こんにちは、カメラマンhayatobellです。学校写真を10年ほど撮影しております。

今回は、体育館での運動会の撮影方法についてです。結論から言うと、体育館での運動会の撮影は、経験がない限り、断るべきです。どうしても依頼されて、断れない場合には、ギャラの増額を交渉すべきです。逆に言うと、体育館での運動会の撮影は、それだけ特殊で、大変で、労力が必要になるということです。

フルサイズ or APS-C

カメラ

学校写真の場合、ほとんどのケースで、APS-Cで問題ありません。撮影枚数が多く、ギャラも低い場合が多いため、フルサイズを新調しても、元がとれない場合も多いです。

しかしながら、体育館での運動会の撮影の場合、フルサイズの方が圧倒的に有利です。理由としては、高感度に強いからです。もしAPS-Cを使うとしても、高感度に強い新しい機種の方が有利です。

運動会の撮影の場合、1000枚から2000枚ほど撮影します。キャノンのEOS 5D MarkⅣ+標準レンズ(EF24-105L IS II USM)を新品購入すると40万円強です(2020年2月17日マップカメラにて)。シャッター耐性が15万回とすると、

400,000万円÷150,000×2000枚=5,333円

が新調したカメラの経費になります。もしギャラが2万円なら1/4を占めます。サブ機と合わせて2台購入したり、ストロボへの負担を考慮すると、機材にかかる費用はさらに増えます。

他の撮影案件や、自分の作品撮りに使うことなどを考慮すれば、この限りではありませんが、もしカメラを新調したら、これくらいの経費がかかることを頭に入れておきましょう。

カメラ設定

  • 撮影モード:シャッター優先 or マニュアル(キャノンならTvかM)
  • 絞り:F6.3~F11くらい
  • シャッタースピード:1/200~1/800くらい
  • ISO感度:~限界まで
  • WB:マニュアル
  • AFモード:ワンショット or サーボ(キャノンならOne shot or AIサーボ)
  • 記録画質:JPEG M(心配ならRAWも)
  • ストロボ:オート(キャノンならE-TTLを基本に光量を調整)

体育館が十分に明るい場合には、シャッター優先でもOKですが、光量が十分に確保できない場合には、マニュアルを使います。私の場合、まずはマニュアルを使って、露出オーバーになってしまうようなら、部分的にシャッター優先を使うようにしています。

シャッタースピードを軸に考えます。競技中は1/500から1/800くらいで、それ以外なら1/200から1/250くらいのストロボ同期速度以内に収めます。この状態で、絞りがF6.3からF11で、ISO感度を調整します。

ISO感度が低すぎると、背景が黒く落ちすぎるし、上げすぎるとストロボ光の他に太陽光や体育館の照明のミックス光になってしまい、肌の色が変になってしまうので注意です。

また、今回撮影するカメラのISO感度の限界も確認しておきましょう。ISO800からISO2000くらいまでなら、最近のカメラなら問題ないと思いますが、それ以上なら粒子が目立ってくる場合があります。

体育館

ホワイトバランス(WB)は、マニュアルで設定します。体育館の撮影では、これが一番面倒です。最新のカメラではオートでも問題ないかも知れませんが、マニュアル設定でも対応できるようにしておきましょう。

また、ホワイトバランスは、カメラがどちらの向きを向けるか、外光が入る位置なのか、体育館の照明が強い位置なのか、などによって変わってきます。いくつかのポジションにおいて、ホワイトバランスの値を予め確認し、頭に入れておきましょう。

AFモードは、競技中はサーボ(キャノンならAIサーボ)で、それ以外ならワンショット(キャノンならOne Shot)です。

記録画質は、Lサイズプリントを想定しているなら、JPEG MもしくはSでOKです。ただし、ホワイトバランスの設定に自信がない場合には、保険の意味でRAWも記録しておくと良いでしょう。RAWで大量の枚数を撮影すると、後処理が大変になりますので、できるだけJPEGの最低限のサイズで対応できるようにしておいた方がいいです。

ストロボは、直あてで、基本的にオートですが、光量補正を状況に合わせて調整します。若干マイナスにしておいた方がストロボへの負荷が少なくなるので、おすすめです。

また、ストロボは最低2台以上、メーカー純正のフラグシップを用意しましょう。バッテリーの予備も必要です。バッテリーパックがあるといいかも知れませんが、運動会では動きが多いため、邪魔になります。

事前準備

上履き
  • 機材
  • ストロボ(純正フラグシップ2台)
  • 上履き
  • 明るさ(照明、太陽光)
  • 色温度の調整
  • 撮影場所の確認(背景が落ちない)
  • ISO感度の限界をチェック

機材については、上記に記載した通りです。可能ならフルサイズカメラがあった方がいいです。ストロボは、メーカー純正のフラグシップが2台以上必要です。バックアップの意味もありますが、ストロボに負荷がかかるので、小まめに交換しながら使います。

上履きもあった方がいいです。スリッパを使うくらいなら、裸足の方がいいです。でも、トイレに行ったり、外に出て看板の前で家族写真を撮る場合に備えて、上履きはあったほうがいいです。

明るさのチェックは念入りに行いましょう。カーテンがしまっていたら開けて、照明がついていなかったら点けましょう。その上で、それぞれの場所において、どのような光が支配的になっているかイメージしながら、色温度の調整を行いましょう。黄色が強すぎると、あどでレタッチしても修正しきれない場合があるので、注意です。

最新のフルサイズカメラの場合、オートホワイトバランスで対応できるかもしれません(場所や条件によります)。APS-Cサイズのカメラや古いカメラになってくるほど、マニュアルで設定する箇所が増えてくると考えて間違いはないでしょう。逆に言うと、APS-Cや古いカメラで合っても、こまめに調整することによって、品質を満たした写真は撮れます。そのための準備をしっかりしましょう。

体育館

撮影場所の確認もします。かけっこはどの位置で撮ると良いのか?カーブは一瞬ですぎてしまうので、直線で撮る方が無難です。そして、背景は太陽光が届かない場所よりも、窓がある明るい場所の方がいいです。観客席の邪魔にならないことも大切です。

ISO感度の限界も確認しておきます。いざと言うときには、ISO感度を上げて撮影しますが、このときの限界値を確認して、通常の撮影ではここまで、どうしようもない場合にはここまで上げるといった数値を確認しておきましょう。

撮影方法

カメラ+ストロボ
  • ストロボ直あて
  • 色温度の小まめな調整
  • ストロボ温存&交換

各々の競技の撮影方法は、それぞれの記事を参照してください。

ストロボは、直あてです。バウンスにしても、体育館では反射する場所が遠すぎますし、壁や天井が白ではありません。子ども写真では、スキントーン(肌の色)がきれいに出ることが必要条件です。

上記でも書きましたが、色温度はカメラを向ける方法、トリミングの範囲、時間等に応じて変わってきます。こまめに確認しながら調整しましょう。

体育館での運動会の撮影では、ストロボへの負荷がとても大きいです。ハイスピードモードを頻繁に使うので、バッテリーの消耗が激しかったり、光量が安定しなかったり、ときには光らない場合もあります。

幼稚園、保育園での撮影では、全撮りが大前提です。競技をする園児をくまなく撮影する必要があります。自分では撮影したつもりでも、ストロボが光らなければ、露出不足で使える写真にはなりません。いざと言うときに、こんな状況にならないように、ストロボを温存、もしくは頻繁に交換しておきましょう。

注意点

園児、児童
  • ストロボ状態チェック
  • 色温度チェック
  • 距離が近い
  • 親御さんの邪魔にならないように
  • 水分補給

ストロボの状態チェックや色温度のチェックは、上記までに記載した通りです。

距離が近いことについては、とくにかけっこについて、せまい体育館の中で、スタートゴールがあります。乳児は直線です。スタートしたら、あっという間にゴールです。集中してしっかり撮影しましょう。測距点をエリアにする場合は、床など想定外の場所にピントが合わないように注意しましょう。

幼稚園児、保育園児はとても小さいです。カメラマンはしゃがんで撮影していても、園児が隠れてしまうことがあります。親御さんの邪魔にならない位置で撮影しましょう。どうしてもその場所で撮影する必要がある場合は、素早く撮影して、移動しましょう。

体育館は蒸します。カメラマンの体調管理も十分に気を付けましょう。特に水分補給も忘れずに、まめに行いましょう。運動会のカメラマンは体力仕事です。

最後に

猫 レオ 昼寝

いかがでしたか?幼稚園や保育園など、雨天延期を避けるために、最初から体育館での開催を計画する場合も多いです。雨天により、体育館で開催もあります。つまり、小さい子どもの場合は、体育館での開催が多くなります。

昔の体育館は、照明が特殊で、普通に写真を撮ると黄色が強く出てしまいました。最近の体育館ではだいぶ改善されてきましたが、いまだに、カメラマンにとっては難所だと思います。クリップオンのストロボで、シャッタースピードが速め、しかも、明るい雰囲気で撮る(背景が落ちないように)のは、結構大変です。

初めての撮影が体育館での運動会撮影と言う場合には、こちらを確認して、十分に準備をしておくと良いと思います。