運動会の園児ダンス

こんにちは、カメラマンhayatobellです。学校写真を10年ほど撮影しております。

今回は、ダンスの撮影方法です。幼稚園や保育園の園児さんや、小学校低学年の児童さんなど小さい子どもたちに多いダンスです。とても可愛らしくて、親御さんにも人気です。

運動会といえば、かけっこ!という方もいるかもしれませんが、実はダンスのほうが好き!という方も多いかもしれません。

カメラ設定

  • 撮影モード:シャッター優先(キャノンならTv)
  • 絞り:F6.3~F11くらい
  • シャッタースピード:1/500~1/1000くらい
  • ISO感度:~800くらいまで
  • WB:オート or 太陽光
  • AFモード:サーボ(キャノンならAIサーボ)
  • 記録画質:JPEG M
  • ストロボ:オート(キャノンならE-TTLを基本に光量を調整)

他の撮影でも一緒ですが、カメラは2台用意します。1台は標準レンズで、もう一台は望遠レンズを装着します。3台だと邪魔になってしまうので、2台がいいと思います。

撮影モードは運動会のデフォルトであるシャッター優先です。ぶれてしまっては、プロの写真としては使い物にならないので、ここは絶対です。まれにマニュアルで撮影する方もいますが、順光逆光、日向日陰と運動会の撮影では、様々なシチュエーションでたくさん撮る必要があります。適宜変更できる方はいいかもしれませんが、疲れてきたり、慌ててしまったときなどに備えてシャッター優先のほうが安全です。

運動会 ダンス

絞りは、APS-CでF6.3~F11くらいです。フルサイズだともう少し絞ったほうがいいかもしれません。ピンで撮影するときは、もう少し絞りを開けてもいいかもしれませんが、その分ピンと位置がずれるリスクもあるので、注意しましょう。

大人数で撮影するときは、基本的に撮影対象の子どもすべてにピントがあうようにしましょう。親御さんの立場からしたら、隣の子はシャープに映っているのに、自分の子どもにピントが合っていないとがっかりしますからね。

写真のサンプルでは、画質やサイズを落とした見本で見ることが多いですが、気が付かないことが多いです。後々のトラブルを避けるためにも、ここは注意です。

シャッタースピードは1/500以上です。これ以下だと、ジャンプやちょっと手を振っただけでも、ぶれてしまう可能性があります。可能ならもう少し上げておきます。体育館でも1/500以上は確保したいところです。

ISO感度は屋外ならISO800くらいまでに抑えましょう。体育館の場合は、カメラの性能に応じて変わってきます。撮影に使うカメラで、どのくらいまでなら品質が担保できるか確認しておきましょう。

運動会

ホワイトバランス(WB)は、オートもしくは太陽光です。チームで撮影する場合は、太陽光にする場合が多いです。オートの場合は、カメラの性能や癖を把握しておきましょう。日陰に入った場合や、洋服の色によっては、子供の肌のスキントーンがきれいに出ないことがあります。

体育館での撮影の場合は、可能ならマニュアルで設定しますが、同じ体育館内でも外光の入り方や照明の状態によって変わってくるので、それぞれの場所や角度における色温度を確認しておきましょう。

実際の撮影になると、設定が間に合わない場合もあるので、最低でもレタッチで修正可能な範囲に収めましょう。RAWだとデータ大きすぎて大変なことになるので、JPEGのMサイズもしくはSサイズで修正可能な範囲です。

運動会 ダンス

AFモードはサーボを使います。ダンスの場合、同じ場所で演技をすることが多いですが、予想外に動き出すことがあります。ワンショットではなく、サーボにしておくほうが安心です。ただし、どこにピントを合わせているのか(測距点)は常に意識しておきましょう。

記録画質は、Lサイズプリントを想定している場合は、JPEGのMサイズもしくは、Sサイズです。幼稚園や保育園における運動会の撮影は、とにかく枚数が多いです。1回の撮影で、1000枚から多いときには3000枚くらいになります。さらに、10月は運動会シーズンで、毎週土日は撮影になります。これをRAWで撮影していたら、大変なことになってしまいます。

事前準備

  • 曲目とダンスの内容
  • 導線確認
  • 前後列の入れ替え
  • 帽子を上げる
  • カメラマンのポジション
  • 最後のポーズ(フォーメーション)

曲目とダンスの内容

運動会の園児ダンス

まずは、曲目とダンス内容の確認です。曲目はパプリカとか今はやりの歌が多いです。曲によってだいたいのダンス内容がわかってきます。あとは、衣装もチェックです。

導線確認

どこから入場して、どこで演技をして、どこで退場するか、確認しておきます。途中のフォーメーションチェンジも。

前後列の入れ替え

前後2列でダンスをする場合があるのですが、後ろの児童さんがよく見えない場合があります。こんな場合に備えて、前後列の入れ替えがあるか確認しておきましょう。

入れ替えがあれば、前でダンスをしている児童さんに注力して撮影できます。

帽子を上げる

運動会 ダンス

児童さんは、つば付きの帽子をかぶっていることが多いです。ダンスの時も帽子ありなら、つばを上にあげて、帽子も若干上向きにして、顔が見えるようにしましょう。

カメラマンのポジション

上記を意識して、カメラマンはどこから撮影するか、ポジションを決めます。中央の真ん中くらいから撮影できればいいですが、たいていは保護者席に向かって演技をするので難しいです。

こんなときには、演技する児童さんとは別の親御さんを探して、そこから撮影させてもらうことがあります。一言、挨拶をすると、快く撮影させてくださる親御さんが私が撮影するところでは多いです。

先生が前に立って見本のダンスをして、子供たちはそれを見ながら真似をすることが多いです。邪魔にならなければ、先生の影に隠れて撮影することもあります。

ベストポジションで撮影できればいいですが、運動会は親御さんへのサービスであることも意識して、邪魔にならないように注意しましょう。

最後のポーズ(フォーメーション)

演技の最後に中央に集まって、きめポーズをする場合があります。先生によっては、ここは絶対に撮ってほしい!と言われることがあります。この場合には、できるだけ中央の前から撮影できるように努力してみましょう。

撮り方

  • 入退場シーン
  • 全体→3,4人→ピン
  • 全員撮影
  • 待機状態

入退場シーン

まずは、入退場シーンです。一列になって、入場するシーンは撮影しやすいので、できれば撮影しておきましょう。場合によっては不要と言われることがりますが、撮り逃しや、場所的にどうしても撮れなかった児童さんのほかに、ずっと下を向いていた子の抑えとしても、後で助けられる場合があります。

全体→3,4人→ピン

運動会 ダンス

全員撮影の場合の基本は、全景撮影から大人数を撮影し、徐々に少人数に移行していきます。ピンを撮影する場合には、必ず全員を撮影しましょう。人数が少なくて、何度も撮影させてもらっている幼稚園や保育園さんでは撮影することもありますが、初めての場所の場合には慎重に行います。

全員撮影

基本的には全員撮影します。親御さんが自分の子どもの写真がどこかで探せる状態です。ただし、場所によっては動きが撮れない場合があります。児童さんはとても小さくてかわいらしいので、演技の途中で、大人のカメラマンが動き回ると邪魔になってします。このあたりはバランスですので、臨機応変に対応しましょう。

待機状態

カメラマンしか撮影できないことは何か?これをいつも考えるようにしています。写真撮影はカメラマンに任せて、自分は動画撮影や演技を見ることに集中する方も多いです。しかしながら親御さんによっては、その辺のプロカメラマンよりもいい機材を使って撮影している場合もあります。

さらに、撮影対象は自分の子どもだけ。となると、全員をまんべんなく撮影するカメラマンは不利になってしまいます。こんな時には、演技直前の待機状態の写真を撮るのもおすすめです。

入場門の内側で、演技が始まるのを待っている状態です。たいていの児童さんは、笑顔の写真を見せてくれます。衣装を着て、友達との距離も近いので、何人か一緒に撮影できます。緊張状態というよりは、わくわくいっぱいの笑顔を見せてくれることのほうが多いような気がします。

注意事項

  • 全員漏らさず撮る
  • 顔が見える瞬間に撮る
  • ブレ、ピンボケ注意
  • 絞り解放を使わない
  • 体育館での撮影が多い
  • 親御さんの邪魔をしない
  • 可能ならピンも撮影する
  • 動くときは最小限に
  • カメラマンしか撮れない写真を撮る

全員漏らさず撮る

上記でも書きましたが、全員漏らさず撮影することが大事です。基本は全撮りです。現場の状況によっては難しい場合もありますが、まずは、どうやったら全員が漏らさず撮影できるか考えましょう。

顔が見える瞬間に撮る

運動会 ダンス

全員を撮影するからと言って、とにかく撮りまくればいい、というわけではありません。顔を上げて、〇〇ちゃんだ!というのが認識できる瞬間に撮影をします。できれば、表情の頂点で。これはピンで撮影する場合には注意です。

ブレ、ピンボケ注意

ブレやピンボケがないことは、プロカメラマンとして必要最低限の条件です。チャンピオンデータを納品するというより、ある一定以上の品質を担保した写真を納品できるようにしましょう。

絞り解放を使わない

運動会 ダンス

高いレンズを使っていると、つい絞りを開けて撮影したくなりますが、学校写真の撮影では要注意です。被写体全員にピントが合っているように注意しましょう。

写真を選ぶ際のサンプルでは、画質を落として、小さ目の画像で見ることが多いです。この状態では、自分の子どにピントが合っているのが、確認するのは難しいですし、素人の方にここまで求めるのは酷です。

買った後で、こんなはずじゃなかった・・・とならないためにも、上記など、間違えやすい写真には注意しましょう。

体育館での撮影が多い

幼稚園や保育園の運動会では、小学校の体育館を借りて開催することが多いです。理由としては、雨天開催できることと、炎天下による日射病を予防できるからです。

園児さんが走るトラックは、そんなに大きくないため、体育館でも十分といった理由もあります。

ということで、体育館のほうがいいように思いますが、カメラマンにとっては難易度がぐっと上がります。詳しくは上記に書いてありますので、確認してみてください。

親御さんの邪魔をしない

運動会は何のためにやっているかを考えてみましょう。写真撮影は必要なことで、もっとも写真が売れるイベントではありますが、カメラマンのために開催しているわけではありません。

運動会は、親御さんへのサービスを考えるとよいでしょう。また、写真を買ってくれるのも親御さんです。ですから、親御さんの邪魔をしないようにしましょう。

ただ、ここはバランスなのですが、一部の親御さんにばかり注意がいってしまい、写真を撮ってもらいたい親御さんのために撮影ができなくなってしまうのも困ってしまいます。

この辺りは、幼稚園や保育園、地域、親御さんの年代によっても変わってきます。あと、おじいちゃんカメラマンが多い場合にも注意です。

可能ならピンも撮影する

運動会の園児ダンス

幼稚園や保育園の運動会撮影は、販売用が多いです。他のお友達と一緒に写っている写真もいいですが、ピンでの写真も喜ばれます。可能ならピンでの撮影もおこないましょう。

動くときは最小限に

小さな児童さんを迫力ある写真に収めるためには、低い位置からの撮影が必須です。そうなると、前のほうで撮影することが多くなりますが、そこで移動が多くなると、親御さんの邪魔になってしまいます。

移動は最小限になるように、児童さんの導線などを確認しておきましょう。

カメラマンしか撮れない写真を撮る

上記でも書きましたが、カメラマンにしか撮れない写真を心がけましょう。プロ用の器材で撮影する、というのもありますが、カメラマンしか撮れない場面や、カメラマンしか入れない場所での撮影もあります。

親御さんはたいてい場所が決まっていて(保護者席やカメラら席)、そこから撮影します。カメラマンは本部や入場直前の様子なども撮影できます。

親御さんの立場で考えて、「本当は撮りたいけど、撮れなない写真」を撮るようにしましょう。

最後に

猫 多摩川

自分の子どもが保育園生のときは、私はまだアマチュアカメラマンでした。しかもかなり初心者。キャノンのキスデジにボーナスでやっと購入した望遠レンズを使って撮影していました。

当然ながら、うまく使いこなすことはできず、ぶれたり、ピンボケだったり、露出がずれている写真ばかりでした。その中に、まぐれでちゃんとちゃんと撮れている写真があると、大喜びでした。

あと、演技の直前で子供に声をかけてしまい、先生に怒られてしました。

というのも、子どもに声をかけても、こちらに来ることはできない。この直後に演技を控えているので。

そんな中、大泣きをしながら、しっかりとダンスを踊ってくれたのは、今となってはとても良い思い出です。

子供の写真を撮ることも大事ですが、練習の成果がだせて、運動会を盛り上げることのほうがもっと大切だと思いました。あと、運動会が終わった後に、「よくがんばったったね!」って思いっきり褒めてあげることも。