こんにちは、カメラマンhayatobellです。学校写真を10年ほど撮影しております。
今回は、卒業式、入学式で行われる親子での集合写真の撮影方法です。親子集合は、中学校や高校ではあまり行われることはないので、今回は小学校に関して言及します。幼稚園や保育園編は、またの機会に紹介する予定です。
カメラ設定
- 撮影モード:絞り優先 or マニュアル(キャノンならAvかM)
- 絞り:F11~F14くらい
- シャッタースピード:1/60~1/125くらい
- ISO感度:~800くらいまで
- WB:オート
- AFモード:ワンショット(キャノンならOne shot AF)
- 記録画質:JPEG L+RAW
- ストロボ:オート(キャノンならE-TTLを基本に光量を調整)
- 三脚使用+レリーズスイッチ使用
今回は体育館での親子集合写真を想定しています。カメラ設定は状況(体育館の明るさや光の種類など)やカメラマンによって異なってきますので、一例として紹介します。集合写真の撮影は絶対に失敗できないので、カメラマンにとって最も緊張する撮影の一つです。
まずは、撮影モードです。基本的な考え方は、被写体全体にピントが合う絞り(被写界深度)と被写体がぶれないシャッタースピード、画質が担保できるISO感度、ストロボの光が程よく当たる光量やシャッタースピードが設定できるモードです。
体育館が比較的明るい場合には、絞り優先を使いますが、シャッタースピードが遅くなりすぎることがあるので、最初からマニュアルを使った方が無難だと思います。
絞りは、F11からF14くらい。親子集合だと5列とか、6列になることが多く、それだけ深い被写体深度が必要になります。F14以上に絞り込むかは、使用するレンズの性能によって決定します。
シャッタースピードは、できるだけ早い1/125とか、可能ならそれ以上で撮りたいところですが、現実的には難しいことが多いです。シャッタースピードは、遅いとぶれてしまう可能性があり、早すぎるとストロボの光がまわりきれずに、まばらな光になってしまいます。
ISO感度は、可能な限り上げない方がいいですが、現実的にはISO800で落ち着くことが多いです。感度を上げると、画質が落ちることに加え、ストロボ以外の光(体育館の中は色々な種類の光が多い)を拾ってしまうので要注意です。
WBはオートで撮影することが多いですが、余裕があれば、マニュアルで設定した方がいいです。カットによってWBの値が異なってくると後々の処理が面倒になってきますので。
AFモードはワンショットです。こちらも余裕があれば、マニュアルで設定しても良いですが、集合写真の撮影は忙しいので、優先順位を考えて行いましょう。ピントを合わせる位置は、2から3列目くらいです。
記録画質はJPEG L + RAWです。カメラの最高画質で撮影します。
ストロボはオートで行うことが多いですが、光量の補正は必須です。可能であれば、純正よりも光量の大きなストロボを使った方がいいです。ガイドナンバー60だと光量が足りないこともありますので。
あと、可能なら、ストロボはカメラに取り付けるのではなく、離して手持ちで撮影した方がいいです。理由としては、体育館は埃が多く、ストロボの光がカメラの撮影方向と同じだと埃が光ってしまうからです。水中写真でストロボの位置が斜め上から撮影するのと同じような感じです。
ストロボの電源も注意です。集合写真は、ストロボに負担をかけて、その分電池の消耗も激しいです。電池が不足すると、チャージに時間がかかって、集合写真の撮影に時間がかかってしまうからです。
最後に、三脚とレリーズスイッチは使用します。特に、三脚は必須です。できるだけ丈夫で安定したものがいいです。三脚によって写真はだいぶ変わってきます。
準備
- 前列の椅子は、14脚から16脚くらい
- お花があれば、前列の前に置く
- ひな壇は、自分が歩いてぐらつきがないか確認する
- ひな壇以外の台などがあれば確認しておく
一番前の椅子が横幅の基準となります。14脚から16脚と書きましたが、人数や前例等によって異なってきますので、前年等の写真を確認しておきましょう。
考え方としては、横幅は広げすぎない方がいいですが、せまいと列数が多くなりすぎてしまうので注意です。
植木鉢のお花がある場合がある場合は、前列の前に置きます。等間隔でバランスよく配置します。隅っこの方は写真に写らないので、少し内側がいいです。
ひな壇は、親御さんが乗る前に、必ず自分が歩いてぐらつき等がないか確認しましょう。
列数を増やすためにも、教壇などの台があれば設置しましょう。
並べ方
本記事に適切なイラストが見つけられなかったので、上記を参考に見てみてください。
- 中央に先生(先生の人数を確認しておく)
- 児童さんは背の順が理想
- 児童さんは先生の後ろは避ける
- 児童さんが並んだら、親御さんに並んでもらう
- 背の高いパパは後ろに、小柄なママは前に
- 親御さんの数が多くて入りきれない場合は、斜めになってもらう
- あくまでも主役は児童さんであることを伝える
まずは、先生の数を確認して、その分の椅子をあけて児童さんの位置を決めていきます。できれば背の順がいいですが、出席番号順になることも多いです。
2列目以降は、前の人の後ろではなく、人と人の間に入るようにします。列に入ってもらうように「ここに来てください」といった感じで、カメラマンが指定する方がいいでしょう。先生の後ろは隠れてしまう可能性が高いので、避けた方が無難です。
3列目以降は、前列が基準となります。3列目か4列目くらいまで児童さんがはいることが多いです。人数が少なければ中央に寄せます。
1列目:椅子に座る
2列目:立つ
3列目:ひな壇(1段目)に立つ
4列目:ひな壇(2段目)に立つ
5列目:ひな壇(3段目)に
児童さんが入ったら、親御さんに入ってもらいます。ひな壇を使っていても、背の高さによって、隠れてしまう人もでてしまうので、背の高いパパや後ろに、小柄なママは前に来ていただくようにアナウンスします。
また、自分の真後ろに立ちたがる親御さんがいますが、途中で止まってしまうと、入りきれない親御さんがでてしまうので、詰めていただくようにアナウンスします。
これらのアナウンスは、全員に聞こえるように大声で何度もします。理由としては、カメラマンが注意を促していることが多くの人に認知してもらえるようにすることです。何度アナウンスしても、聞いてくれない場合がありますが、これから撮影する集合写真では、そんな状態残す証拠写真になってします。
親子集合写真のポイントは、主役はあくまでも児童さんです。これもアナウンスします。親御さんの人数が多すぎて、焦ってしまう方がいる場合もありあますが、あくまでも主役や児童さんで、親御さんは脇役であることをお伝えするとあせった感じが和らぐことが多いです。
児童さんの顔が被らないようにチェックします。小学生はまだ背の小さい子が多いので要注意です。また、撮影中に動いてしまわないように位置決めを確認します。
親御さんが入りきれない場合には、斜めになって、左右それぞれで内側を向いてもらいます。「半身になっていただいたほうが細く見えます」とお伝えしてもいいかも知れません。親御さんは自己責任で顔を出してしまうこともありますが、時間的に余裕があれば、前後を入れ替えたりして、全員のお顔が見えるように位置決めしていきます。
中学生の兄弟や、未就学児などの小さい子ども(赤ちゃん)を連れている場合も、可能な限り顔が見えるようにできるといいです。
撮影の注意事項
- マスクをとる
- 服装
- 卒業証書
- 動かない
インフルエンザが流行る時期なので、マスクをしている児童さんもいますが、顔が認識できなくなるので、外してもらいます。親御さんも可能な限り外してもらいます。帽子も後ろの方に被ってしまう場合があるので、外してもらうようにお願いします。
親御さんに関しては、「マスクどうしますか?」「帽子どうしますか?」「帽子が後ろの方に被っていますが、どうしますか?」といった感じで、協力をお願いするのがいいかも知れません。
服装は先生と一緒にチェックします。女子のスカートは要注意です。きちんと足をそろえてもらいます。男子もシャツやネクタイなどがちゃんとなっているか確認します。先生の服装もチェックしておきます。
余談ですが、男性の場合、ネクタイは短めに結ぶか、ズボンの中に入れるといいです。椅子に座る場合、スーツの下のボタンを外すことが多いですが、ネクタイが長いと、ネクタイの先がふんどしのように見えてしまうからです。
卒業証書などを持つ場合は、みんな同じ向きになるようにします。この際、胸にお花をつけている場合は、被らないようにしましょう。
卒業式や入学式など式典の撮影では、あまりないかも知れませんが、シャッターを切る瞬間は止まってもらうようにう促します。小学生の児童さんの場合、「ストップ!」というと止まってくれます。
入学式や卒業式では、児童さんも自分のいいところを見せたい欲求もあるし、最近のお子さんはきちんとしているので、きちんとコミュニケーションがとれれば普通は問題ないでしょう。
最後に
いかがでしたか?卒業式や入学式の集合写真は、カメラマンにとって最も緊張する撮影の一つです。通常の学校写真では、スナップなど色々なカットを撮影することが多いですが、卒業式や入学式では集合写真のみを撮影する場合もあります。
集合写真のみを撮影しにいったのに、失敗するわけにはいかないですよね!?それもあって、結構緊張します。
被写体となってくださる児童さんや親御さんにとっても良い思い出になってくれることを願って写真を撮っています。