こんにちは、カメラマンのhayatobellです。学校写真を10年ほど撮影しております。
今回は、集合写真の撮り方についてです。これは、学校写真に限らず、結婚式、忘年会、クリスマス会、新年会、同窓会・・・などなど、いろいろな場面で使えます。ぜひとも、参考にしてみてください。
「なぜ、集合写真を撮るのか?」を考える
集合写真をとる理由については、大きく分けて二つ。
- なぜ、「いま」集合写真を撮るのか?
- なぜ、「ここで」集合写真を撮るのか?
「いま」は言い換えると、時間、タイミングetc.です。
入学式、卒業式、クリスマス会、結婚式、忘年会、懇親会、誕生会など、その時だからこそ、写真に残しておきたいシーンがあります。そして、その時に、その場にいてくれた人と一緒に写真に写る(その瞬間を共有する)ことによって、後々の良い思い出になります。
「いま」を演出できるアイテムやグッズ、服装なども一緒に撮影しましょう。主役がいれば、センターに持ってきて、写真の中でも分かり易いように演出します。
具体的には、卒業式の卒業証書やお花、結婚式は新郎新婦のウェディングドレスやタキシード、クリスマス会ではサンタクロース、お誕生会でプレゼント、送別会では花束など。あとで、思い出を振り返れるように。
「ここで」は言い換えると場所。観光地や有名な場所での撮影が多いです。
学校写真だと、日光東照宮、華厳の滝、清水寺、法隆寺、東寺、渡月橋、興福寺、奈良公園、姫路城、原爆ドーム、長崎の平和祈念像、ハウステンボス、高尾山山頂などがあります。
旅行や研修などで、その場所に行ったことが、あとで分かる写真です。この場合、このことが分かるように、背景にランドマークをしっかりと入れることがポイントです。
カメラ設定
- モード:マニュアル
- シャッタースピード:1/60~1/200くらい
- 絞り:F8~F14くらい
- ISO:~800くらいまで
- ピント:ワンショット
- 測距点:前から2列目くらい
- ストロボ使用(可能なら大き目のストロボ。キャノンならスピードライト 600EX II-RT)
- 可能なら、三脚とレリーズスイッチを使う
必ずしもマニュアルモードを使う必要はありませんが、上記のシャッタースピードと絞りの範囲内に収まるようにしましょう。
シャッタースピードは、被写体や状況によって、異なります。基本的な考え方としては、ストロボがシンクロする範囲内でできるだけ早めに設定しましょう。自分はどのシャッタースピードまで手振れしないか、被写体の年齢や落着き度合いから、どの程度のシャッタースピードまで被写体ぶれしないか見極めることがポイントです。(可能な限り、三脚を使う方がいいです)
矛盾するようですが、室内や暗い場所での撮影の場合、シャッタースピードを上げすぎると、バック(背景)が暗い写真になってしまいますので、要注意です。バックが暗いと、全体として暗いイメージとなってしまいます。
できるだけ明るめの背景を選ぶこと、色被りをしにくい場所(光源の種類を絞る、もしくはストロボ光が優先的になるように)しましょう。
絞りは、できるだけ絞ることがポイントです。集合写真として、2列、3列になる場合には、最低でもF8は確保したいところです。特にフルサイズのカメラを使う場合には、しっかりと絞って、全体にピントが合うようにしましょう。
また、絞りすぎて、シャッタースピードが遅くならないようにすることも大切です。
ISO感度は、上げすぎるとざらつきが出てしまうので、できるだけ下げて撮影します。自分のカメラでは、どの程度まで許容できるのか、あらかじめ確認しておきましょう。おおよその目安としては、ISO800くらいまでに抑えたほうがいいでしょう。
シャッタースピード、絞り、ISO感度、ストロボの光量のバランスをとりながら、調整することがカメラマンの腕の見せ所です。
学校写真の場合、子どもたちの顔がきちんと把握できることが大事なので、ストロボを直あてにして、強めに発光することが多いです。
また、幼稚園や保育園の乳児や幼児、小学校低学年の児童などは、じっとしていることが苦手なことが多いため、できるだけ早めのシャッタースピードで、手際よく撮影することがポイントです。
中学生や高校生など落ち着いてきて、ある程度雰囲気重視の撮影をしたい場合には、「シャッタースピード遅めでとりますので、じっとしていてくださいね」と言ったりします。これができるかどうかは、事前に落ち着きのある生徒さんか、こちらの言うことをきちんと聞いてくれるのか、見極めておくことが必要になります。
ピント合わせは、ワンショット、測距点(ピントを合わせるポイント)は前から2列目くらい。ピントが合う範囲は、測距点から前に1/3、後ろに2/3が目安となりますので、全体を見て、前から1/3くらいの位置にピントを併せます。
学校写真の場合はストロボ必須です。光がちゃんと届く様に光量の大きいもの、光ができるだけ均一にあたるように大き目のストロボを使うということで、最低でもガイドナンバー60クラスのスピードライト 600EX II-RT等を使います。
例えば、体育館などで卒業式の記念撮影をする場合、ISO800、絞りをF11に合わせ、シャッタースピードがどのくらいか確認します。1/125くらいで撮れればいいですが、実際にはもうちょっと遅くなる場合もあります。1/60で撮れればいいですが、感極まっている子どももいるので、シャッタースピードはもう少し上げたいところです。あとはストロボの光量で調整します。顔が適正になるようにすると、若干強めになることが多いです。この場合、バックが暗く落ちないように舞台の証明等を最大にしてもらいます。カメラに関しては、こんな感じの設定、並べたり、被写体の方の位置決めをしながら行っていきます。
三脚とレリーズスイッチについては、基本的にあった方がいいです。三脚を使うことで、フレーミングを丁寧に行うことができること、ある程度の遅いシャッタースピードで撮影できる(1/125以下ではあった方がいいです)、シャッターを切る瞬間を目視確認できることがあります。撮る瞬間にふざけている子どもなども、きちんと確認できます。
あとは、三脚とレリーズスイッチを使うことで、この写真はスナップとは違う特別な写真なんだよ!というのがアピールしやすくなります。
最期にレンズですが、便利ズームよりもきちんとした標準レンズを使ったほうがいいです。ズームレンズも広角側から少しズームしたところがいいです。状況的にどうしても、便利ズームで集合写真を撮らなきゃいけない場合は、センターに寄せて、余白を多めにします。隅っこの方はひずみや光陵落ちが発生しやすくなりますので。
並べ方
並べ方は大切です。一クラス30人から40人くらいなら、3列が基本です。一番前から座る、中腰または膝立ち、一番後ろは立つといった感じです。横幅はできるだけ抑えた方が、写真として仕上げた時に各々の顔の大きさを小さくせずに済みますが、背景とのバランスも重要です。
そして、一番大事なのが、顔が被らないようにすること。前列の人と人の間に入るによう並べていきます。人間は、自分から見てカメラが見えていればOKと思ってしまいがちですが、それだと片目が出ているだけで、顔半分は前の人と被っている場合もあります。通常は背の順で入ってもらいますが、それが難しい場合(出席番号順やグループごとに近くで撮影)には、背の大きい子の後ろに背の低い子が入らないように注意します
服装や髪形をチェック
学校写真の場合、制服の乱れをチェックします。特に女子のスカートは要注意です。これは私服でも、大人の場合でも一緒ですね。後で修正して下さいというのが一番大変なので、撮影時にきちんと確認しておきます。
髪型にも注意をします。並んでいる方からすると、他の人が並んでいる間など待ち時間もあるので、この間に服装や髪形を直してもらいます。基本的に自己責任で直してもらいますが、これが結婚式や七五三など大事な衣装での撮影の場合には、正式な着付けなど、カメラマンが把握するか、衣装担当のかたについてもらうのが良いと思います。
「はい、チーズ!」の声掛け
ここまで来たら、やっとシャッターが切れる準備ができたことになります。
「はい、チーズ!」の瞬間にどれだけ被写体の方の注意を集中できるか?
「はい、チーズ!」の瞬間じどれだけ印象深い写真にできるか?
が腕のみせどころです。被写体の注意を集中できるかに関しては、並べる時など、シャッターを切る直前はでは、静かな話し方で、「はい、チーズ!」で大きな声を出したり、間をとったりします。今までと少し違う対応をすることで、緊張感が生まれ、集中してくれやすくなります。
どうしても、まとまらない場合は、クラスの中心人物になりそうな生徒さんに「はい、チーズ!」などの声掛けをしてもらうこともあります。何も知らない他人であるカメラマンよりも、自分たちの仲間、しかもリーダー的な存在に協力してもらうことにより、一つにまとまることもあります。
印象深い写真については、ポーズをとったり、アイテムをきちんと見せたり、「ミッキー」など、元気よく大声で言ってもらうことにより、笑顔で元気な写真が演出できたりします。これらの写真は、まずは全員の顔がきちんと撮れている集合写真が確認できた後に行うことが多いです。
写真撮影の掛け声については、こちらに詳しく記載していますので、興味がある方は見てみてください。
最期に
いかがでしたか?一言で集合写真と言っても、状況や人物、カメラマンによって全然違います。時間がかかってもいいから、きちんと撮って欲しい写真と、手短にサッととって欲しい写真では、全然違います。また、手短に撮る写真だからといって、いい加減ではいけないところが難しいところです。
これからの時期、忘年会やクリスマス会では、写真係の方が集合写真を撮る機会も増えてくると思いますが、これらを参考に撮ってみてください。
色々書きましたが、スマホなどで一番簡単に撮る方法は
- 「みなさん、自己責任で顔を出してください~」
- 「撮りますよ~、ハイ、チーズ!」
- 「元気がないですね~、もう一回いきます!」(必要に応じて、バリエーションを変えて繰り返す)
- 「OKです!ありがとうございました!」
でいけば、ある程度は撮れると思います。
アマチュアの方とプロを比較して、違いが大きいと思うのは、写真を撮ることにかかる時間と、写真を撮った後に「OKです!ありがとうございました!」を言うか言わないかにあると思います。