食事

こんにちは、カメラマンhayatobellです。学校写真を10年ほど撮影しております。

今回は、幼稚園・保育園における食事シーンの撮影方法です。日常風景の撮影や遠足におけるお弁当や食事シーンは、カメラマンにとっても、児童さんや親御さんにとっても、とても大切な場面になります。

なぜなら、ほかのところでは全員を網羅するのはなかなか難しいですが、食事シーンでは全員を隈なく撮影することができるからです。反対に言えば、カメラマンにとっては全員を撮影できるチャンスでもあります。

カメラ設定

  • 撮影モード:シャッター優先 or 絞り優先(キャノンならTvかAv)
  • 絞り:F5.6くらい
  • シャッタースピード:1/125~1/200くらい
  • ISO感度:~1600くらいまで
  • WB:オート or 太陽光
  • AFモード:ワンショット(キャノンならOne shot)
  • 記録画質:JPEG M
  • ストロボ:オート(キャノンならE-TTLを基本に光量を調整)

撮影モードは、シャッター優先か絞り優先です。シャッタースピードが遅くなりすぎないように常にチェックできる場合は、絞り優先でもいいですが、そうでない場合はシャッター優先の方が無難です。

食事

絞りは、F5.6くらいが無難です。一人ずつの撮影なので、もっと開けた方が背景もボケていいのですが、子供はじっとしていられません。親指フォーカスでピントを合わせて、撮影する間で合っても、微妙に動いてしまい、微妙なピンボケになってしまう可能性があるからです。

シャッタースピードは、若干早めです。子どもによっては、はいチーズの瞬間に止まってくれますが、そうは言っても乳幼児なので動きます。できれば1/200くらいは確保したいところですが、背景が落ちすぎる可能性もあるので、状況に応じて調整しましょう。

食事

ISO感度はできればあまり上げない方がいいです。①ぶれないシャッタースピードを確保できる②背景が落ちすぎない③ミックス光になりすぎない といった優先順位でISO感度をできるだけ下げて撮影しましょう。

WBはオートもしくは太陽光です。依頼された撮影の場合には依頼先、もしくは他の撮影との兼ね合いで決定しましょう。

AFモードはワンショットです。

記録画質は、Lサイズプリントを想定する場合JPEG Mで十分だと思います。場合によってはSサイズでもOKでしょう。

ストロボは、慣れていればバウンスを使います。しかしながら、天井などバウンスする箇所が白じゃない場合もあるので、注意です。自信がなければ直あてでもOKです。この方が肌の色はちゃんと出るので、安心ですが、影が目立ちすぎたり、背景が落ちすぎる場合があるので、注意しましょう。

どちらも、ストロボの光量は場面ごとに調整します。直あての場合は、ディフューザーを使った方がいいかも知れません。

撮り方

食事
  • 「いただきます!」を撮る
  • 小さい乳児から撮影する
  • 可能な限り、食べ始めに撮る
  • 一人ずつ撮影する
  • 声かけする/しないは状況による

「いただきます!」を撮る

食事

可能であれば、「いただきます!」のシーンを撮りましょう。年長さんなどのクラスになると、お当番の子どもたちが前にでてきて、「今日のメニューは○○です。残さず食べましょう!それでは、手を合わせてください。いただきます!」って感じで挨拶をします。

とても可愛らしいので、可能な限り抑えましょう。ただ、食事シーンは短時間で多くのクラスを回らなければいけないので、必ず撮らなければいけないものでは、ないと思います。

小さい乳児から撮影する

乳児の食事

日常生活で食事シーンを撮影する場合、昼食は小さい子どもから提供されるのが普通です。

そうなると、乳児さんからの撮影になりますが、乳児さんは要注意です。というのも、月齢によっては、ほとんど赤ちゃんだからです。

部屋に入る前には先生に必ず確認します。食事が並べられて、食べ始めたら、そおっと入って、素早く撮影します。人見知りする子だと、近づくだけで泣いてしまいます。一人の子が泣くと、他の子も泣いてしまうので、要注意です。

先生に協力を仰ぎながら、素早く撮影しましょう。

可能な限り、食べ始めに撮る

幼児の食事

食事シーンは、食べ始めに撮るのがベストです。食べる前だと、食事シーンにならない場合があるし、食べ始めてしばらくたつと、お口の周りがすごいことになっているからです(笑)

一人ずつ撮影する

食事

食事シーンは、全員撮影します。一人ずつ。これは、それぞれの業者でルールがあると思いますが、私の考えでは、「自分の子供がピンで写っている写真が必ず一か所ある」のが親御さんに喜ばれると思っているからです。

おとなしい子や人見知りする子であっても、食事シーンは比較的撮りやすく、親御さんにとっても、自分の子供を探しやすいです。

声かけする/しないは状況による

食事

声掛けをするか、しないかは、状況によります。慣れない場合には、可能な限り声掛けするのがいいと思います。声をかけて、カメラを向いてもらって撮影をする。

でも、何ども撮影させてもらっている園では、同じような写真になってしまうので、夢中になって食べているシーンや、大好きな食べ物を前に満面の笑みを浮かべているシーンの方がバラエティがあって楽しいと思います。

コツ

食事
  • 声かけする場合は、一発で決める
  • 食べる瞬間を狙う場合は、抑えも

声掛けをして撮影をする場合は、設定を予め確認して一発でめましょう。撮る側からしたら、何回か撮影する方が品質は上がっていくことが多いのですが、子供の都合から考えると、一枚目が一番いい表情になることが多いです。

大きな口を開けて、食べ物を口に運ぶ瞬間は食事シーンの典型で、期待されることも多いのです。この場合は、抑えのシーンも撮影しておく方が無難です。

理由としては、上記のシーンがあまり可愛らしくない・・・というか、その子の魅力が上手に映し出されない場合もあるからです。子どもによっては、必ずしもいい瞬間にならないので、抑えのシーンも確保しておきましょう。

優先順位

  1. 親から見て、「普通に可愛い」写真
  2. 「えっ!?こんな顔見せるんだ!」と言う写真
  3. 上記で魅力的な写真

親から見て、「普通に可愛い」写真

食事

食事シーンを撮影する際の優先順位です。

まずは、先生から見て、親御さんから見て、普通に可愛い写真です。これは無難な写真ですが、他でも撮れている写真なので、難度も撮影させてもらっている園では、次を考えてみましょう。

「えっ!?こんな顔見せるんだ!」と言う写真

「えっ!?こんな顔見せるんだ!」といった感じで、親御さんにとって新発見になるような写真が撮れるといいかも知れません。食べ物を口に運ぶ前に、じっくりと眺める子もいれば、口に入れた瞬間に天使のような表情を見せてくれる子もいます。お友達と楽しい時間を過ごしている場合もあります。

上記で魅力的な写真

食事

上記の場合であっても、魅力的な表情であることが望ましいと思っています。依頼された個別撮影では、撮った写真を他の方に見せることはないですが、今回のような食事シーンの撮影では、撮った写真が貼りだされる(もしくはネット掲示)ので、他の方に見られてしまいます。

ですから、「可愛い写真」になるように尽力しましょう。

注意点

子供 食事
  • 口を閉じる
  • 鼻水に注意
  • 口の周りが汚れすぎていない
  • 眼鏡の反射に注意
  • 顔が隠れすぎないように
  • 乳児は早めに撮る
  • 何回も「撮って!」の子を相手にすると、時間がなくなる
  • 絞りを開けすぎない

それでは、注意点です。

口を閉じる

口を閉じる

口を閉じる。これはマナー的な面でもあるのですが、私個人ンとして、クチャらーや、口の中に物が入った状態でしゃべるのは論外だと思っています。

ですから、食事シーンの撮影でも上記のようにならないように、口を閉じさせて撮影するようにしています。

大きな口を開けて、食べものを運ぶシーンでは口の中に食べ物が残っていないか、スプーン等で隠れるように撮れるのがいいと思います。現実的には、短時間で多くの子どものを撮影しなくちゃいけないので、難しいと思いますが。

鼻水に注意

鼻水

鼻水にも注意です。子どもはほっておけば鼻水が出てくるものです。多少は仕方ないかも知れませんが、できれば先生にお願いして拭いてもらいましょう。

口の周りが汚れすぎていない

食事

口の周りが汚れすぎていないことも大事です。小さい子どもが元気よく、美味しそうに食事をほおばるところは、とても可愛らしいですが、ここは注意です。

ここを気を付けるためには、食べ始めに撮影するのがベストです。最初のクラスでは大丈夫でも、後のクラスになってくると、お口の周りが汚れてくる子が多いので、可能なら拭いてもらいましょう。

また、男の子は食べるのが速いので、場合によっては先に撮影するほうがいいかも知れません。

眼鏡の反射に注意

眼鏡

眼鏡の反射にも注意です。多くの眼鏡では反射防止のコーティングがありますが、時々特殊な眼鏡をしている子もいます。ストロボ光が反射してしまうので、角度をずらすなどして反射しないようにしましょう。

顔が隠れすぎないように

男の子

顔が隠れてしまう場合もあります。特に男の子。写真を撮る時、男の子はサービス精神旺盛で、カッコいいポーズをしてくれるのですが、ほとんどの場合で顔が隠れます(笑)カメラの位置を上にずらすなどして対応できる場合はいいですが、上手にコミュニケーションをとって、顔が見えるようにしてもらいましょう。

乳児は早めに撮る

乳児 食事

上記でも書きましたが、乳児は先にとりましょう。

何回も「撮って!」の子を相手にすると、時間がなくなる

写真とって!

写真が大好きな子だと、何回も「撮って!」と言われますが、このような子ばかり対応していると、他の子が撮れなくなってしまいます。食事の時間は思ったよりも短いです。手際よく撮影しましょう。

絞りを開けすぎない

絞り

絞りにも注意です。一人ずつの撮影だと、絞りを開けた方が背景がボケてきれいな写真になります。プロカメラマンとしては、ちょっと違った写真を撮りたくなりますよね。

でも、ここは状況を見て判断しましょう。まずは、ちゃんとした写真が撮れることが大前提です。全員の子どもで。これがクリアできるなら、絞りを開け気味で撮ることもいいかと思いますが、リスクが上がることも認識しておきましょう。

最後にグループで撮影

  • 先生も入れる
  • 先生は、手前ではなく奥に
  • 背景が明るくなるように
  • 絞り、シャッタースピード、ストロボバウンス
  • アレルギーなど、席のが離れている子に注意

先生も入れる

瀬院生と一緒

一人ずつの撮影が終わったら、一緒にご飯を食べているグループごとに撮ることもあります。

グループごとに撮る理由は、「ああ、こんな風に食べているんだ」と親御さんが見られることと、先生も入ってもらって撮影できるからです。

先生は、手前ではなく奥に

先生も入れて撮影する場合には、先生は手前ではなく、奥がわになる方向から撮影しましょう。理由としては、大人と子どもでは、大きさがかなり違います。先生が手前に入ると、子供との大きさが強調されてしまいます。

背景が明るくなるように

いただきます

背景が明るくなるようにすることも大切です。上記と矛盾する場合もありますが、ここは臨機応援に対応しましょう。

絞り、シャッタースピード、ストロボバウンス

一人ずつの撮影とは違って、F8からF11くらいには絞ります。ストロボの光が回るようにシャッタースピードを調整したり、バウンスにして光が均一になるように調整することも大事です。

ただ、直射日光が入り込む窓際の席の場合もあるので、場所場所によって臨機応援な対応が必要です。

アレルギーなど、席のが離れている子に注意

食物アレルギー

食物アレルギーなどで席が離れて座っている子どもがいる場合があります。本当は、お友達のすぐ隣で食べさせてあげたいけど、残念ながら、それはできません。

隣の子どもが食べている味噌汁がちょっとはねてしまったり、パンの粉がちょっと入ってしまっただけで大変な場合があるからです。

食事としては、ちゃんと別にしていても、近くで食事をしている子どもの汁や粉が入ってしまっただけでも、アレルギーを起こしてしまう可能性があるからです。

アレルギー

こんな子どもの場合、グループ写真を撮る時も、仕方ないから一人で撮る。というのもありかも知れませんが、写真的には一緒に食べているように撮る方法もあります。

ちょっと角度を変えて、圧縮効果を使ったりして、近くで食べているように見せることもできるでしょう。

反対に、近くで食べさせているように見えると、親御さんがアレルギーを心配する可能性がるので、席を離して食べさせている状況を俯瞰して撮影することもできます。

余裕があれば、両方のパターンを撮っておくといいかも知れません。写真は動画と違って、見せたいように撮ることができるので、このあたりを工夫してみると喜ばれると思います。

上級編

  • ストロボバウンス
  • 単焦点
  • 絞り優先撮影

ストロボバウンス

ストロボ

まず、最初はストロボのバウンスです。直あてでも問題となるレベルではないですが、プロの仕事としては・・・な感じがあります。特に、縦位置で撮影すると、影が目立ちますので。

バウンスさせる場合には、天井や壁など、どこに反射させるのか、常に意識する必要があると思います。天井でも壁でも白である必要があります。直あてよりも、光量が必要なので、チャージの時間も気を付けます。

私の中で一番大事だと思うのは、ミックス光にはって、子供の肌の色(スキントーン)がきれいにでなくなってしまうことです。背景が暗い場合には、バウンスにしてシャッタースピードを落としますが、窓側なら直あてで場合によっては光量をあげて撮影します。

単焦点

単焦点レンズ

撮影に慣れてくると、使いたくなるのが単焦点です。でも、ここで注意すべきポイントは、撮影現場はとても狭く、距離の調節がやりにくいことです。子どもの大きさが常に同じようなサイズで写るようにするためには、カメラマン側で距離を調整する必要があります。

でも、テーブルが大きいと近づけないし、場所が狭いとさがれず、画面から切れてしまいます。

多少慣れた現場なら、子供に指示を出して、少し前とか後ろに行ってもらうこともできるかも知れませんが、はじめての現場だと難しいです。

単焦点を使うときは、現場をよくシミュレーションして、十分な距離が保てるかどうか確認しておきましょう。無理に単焦点を使うよりも、明るめのズームレンズの方が、撮影の手際よさなどを考慮すると、いいかも知れません。

絞り優先撮影

絞り

絞り優先にして、F2.8などボケが強調されるような撮影をしたくなるかも知れませんが、その場合のリスクも確認しておきましょう。

絞り優先にした場合、暗い場所に移った時は、角度が少し変わったときに、シャッタースピードが遅くなってぶれる可能性があります。

明るい場所に移った時、ストロボのシンクロ速度を超えてしまったら、露出オーバーで真っ白になってしまいます。ハイスピードモードが有効になっていれば、露出オーバーにはならないかも知れませんが、ストロボのチャージが間に合わず、明るさや色が変になってしまう場合があります。

絞り優先撮影 開放値

カメラのレンズ

単焦点とか、効果なレンズを購入したとき、開放値に近い値で撮影したくなりますが、この場合のリスクも考慮しておきましょう。

例えば、F2.8など絞りを開けて撮影すると、背景もボケて綺麗な仕上がりになります。しかしながら、子供はじっとしていません。手前にある目でピントを合わせて、フレーミングを確認して、シャッターを切ったら、その瞬間にはピント合わせをした時と距離が変わっている場合があります。

絞りを開ければ、被写界深度が浅くなるので、このあたりの距離は厳密にすることがあります。プロのモデルや芸能人であれば、シャッターが切れるまでじっとしているかも知れません。しかしながら、相手は素人で、しかも子どもです。このあたりを期待した撮影は、リスクが大きいことも認識しておきましょう。

また、今回のような撮影は、撮影した多くの写真からベストショットを選び出すものではなく、全員を必ず撮影しなければいけません。だからこそ、少しでも安全な撮り方をすることが基本的な考え方になってきます。

撮り終わったら、早めに退散

お着替え
  • 歯磨きシーンは可愛い!
  • お着替えになることも

食事シーンを撮り終わったら、そこで撮影終了となることも多いです。

昼食を食べ終わった子どもから歯磨きを始める幼稚園や保育園も多いです。小さい子どもが自分で歯磨きをしている姿はとても可愛らしいので、余裕があれば安全面に注意して撮影しておくのもいいでしょう。

歯磨き

でも、食事の後はお昼寝になる所も多いです。お昼寝の前には、着替えをします。子どもと言えど、着替えシーンが写真に写るのはNGなので、無理して撮らず、早めに退散するのが良いでしょう。

先生のお手伝い

好き嫌い

食事シーンの撮影をしていると、場合によっては食べるのが遅くなってしまう子どももいます。

先生は、お昼寝など次の準備に向けて忙しい状況なので、ここで、少しお手伝いを考えてみます。

食べるのが遅い子ども、もしくは好き嫌いなどでなかなか食事が終わらない子どもに向かって

「食べるところ見せて!」

というと、得意げに見せてくれます。「人参も食べれるよ!」って、好き嫌いも聞いていないのに、自白してくれます(笑)可愛いですね。

こんな感じで盛り上げていると、あと一息で食べ終わる!と言う子どもは、あっと言う間に食べ終わってくれます。

好き嫌い

今回のような掛け声は、毎日顔を合わせている先生よりも、たまに来るカメラマンの方が効果があるかも知れません。

あと、初めて行く場所では、なかなか雰囲気がつかみずらいので、何回か撮影に行って、顔見知りになっている園でやるのがいいと思います。

最後に

猫 宮ヶ瀬

いかがでしたか?食事シーンは、カメラマンにとっても大事なシーンですが、親御さんも楽しみにしているので、大切にしていきたいと思っています。

子どもが、嬉しそうな顔をして、おいしそうに、ご飯をほおばる姿はとても可愛らしいです。カメラマンじゃなくても、写真に収めたい!と思うのではないでしょうか。

短い時間で全員を撮影する必要があるため、時間配分などを考えながら手際よく撮る必要があり、結構大変な撮影ですが、私以外のカメラマンの方も大切に撮ってもらえると、日本全国のパパやママは喜んでくれると思います。