こんにちは、カメラマンhayatobellです。学校写真を10年ほど撮影しております。
今回は、子ども写真のレタッチについてです。レタッチについては、人によって定義が異なってくると思いますが、ここでは、トリミングと角度調整、色調整、明るさ調整を意味しています。存在するものを消したり、大きさや形を変える合成レタッチは、ここでは割愛します。
見た目と写真、なぜ違う?
こんな経験ありませんか?
夕日がきれいな場所、人気の夜景スポットに行きました。景色に感動し、スマホやカメラで写真を撮影した。後日、友人に見せたけど、全く伝わらない。自分の印象(イメージ)と撮った写真が、何か違う。
これは、脳で処理した画像と、現実をそのまま写真にしたものの違いです。別の言い方をすると、目と脳で作り出した画像と、現実をカメラで切り取った画像の違いです。
肉眼(目+脳)とカメラの違いは?
- ダイナミックレンジの違い
- 感情フィルターあり/なし
私が思うに、目と脳で作り出すイメージと、カメラが切り取る写真の違いは、大きく分けて2つです。
一つ目はダイナミックレンジです。これは、一番くらいところから、一番明るいところまで、どのくらいの範囲で撮影できるかを意味します。
こんな経験ありませんか?すごく天気にいい日に屋外で写真を撮りました。一人は日向で、一人は日陰。肉眼では両方とも認識できていたけど、写真を見ると、真っ黒と真っ白。
これは、肉眼(目+脳)ではダイナミックレンジが広い(暗い~明るいまで認識できる)けど、写真ではダイナミックレンジが狭い(決められた範囲で切り取られている)ために起こります。
これに関しては、レタッチではどうすることもできません。撮影時に対応します。上記の写真では、二人とも日向にでるか、二人とも日陰に入るかのどちらかです。
二つ目は感情フィルターです。これは、こういう言葉があるわけではなく、私が勝手につけているだけです。
例えば、こんな経験ありませんか?
- ものすごくいいことがあった日は、町の風景が輝いて見える
- ついていない日は、どんよりと見える
さらに、昔の彼氏の写真を見てみると、「なんでこんな人と付き合っていたの?」と思った経験はありませんか?当時は大好きだったのに・・・
これは、その時の感情として、恋人のことが大好きだったため、輝いて見えたわけです。嬉しい日に町が輝いて見えたり、落ち込んだ日にどんよりと見えたのも、同じ理由ですね。
子ども写真における、感情フィルターとは?
では、子ども写真における感情フィルターは何でしょうか?お母さんが自分の子供を見るときをイメージしてみると分かりやすいと思います。
「かわいい!」と言う言葉に集約されるかも知れませんが、これを分解していくと
- 明るい
- 肌色がきれい(若干赤みがある)
- 子ども中心に見える
といった感じではないでしょうか。暗いと元気なく見えてしまうので、明るく見えた方がいいです。
肌の色に関しては、青や緑になっていると、顔色が悪く見えてしまうので、血色の好い肌色がいいです。
あとは、自分の子どもが近く感じる方がいいですよね。手で触れられそうな感じで。
子どもが可愛く見えるレタッチとは?
上記をレタッチに置き換えると、こんな感じです。
- 【明るい】
- 露出を上げる
- シャドウを上げる 【肌色】
- 色温度を上げる
- 色かぶりを赤の方に
- 自然な彩度を上げる 【子ども中心】
- トリミングで調整
まずは、明るさですが、これは露出を上げるのが一般的です。しかし露出を上げるだけだと、被写体が飛んでしまうだけで、まだ暗いイメージを持ってしまう場合もあります。こんな時には、シャドウを上げます。
写真が明るいか、暗いかは、被写体をピンポイントで見て判断しているのではなく、写真全体の明るさで判断しています。だから、いくら被写体である子供を明るくしても、全体が暗ければ、暗い写真だと感じてしまいます。
次に肌色です。今回はアジア人に限定ます。私たちのような日本人(黄色人種)の場合、子供を子供らしく見せるには、若干黄色にします。このために、色温度を上げます。
次に、色かぶり補正で、若干赤みを載せます。こうすることで、健康的な子供になります。最後に自然な彩度を少しだけ上げます。これで色が鮮やかになってくるので、はっきりとした写真になってきます。
子供を中心にするには、トリミングで調整することが多いです。子どもだけをドアップにする場合もありますが、子どもに目が行くように、他に目立ちそうなものが写り込んでいたらカットするようなイメージです。
レタッチに使うソフト
私の場合、レタッチソフトは、AdobeのLightroomを使っていますが、学校写真の場合はAdobeのBridgeを使うことが多いです。Bridgeだと大量のデータをレタッチする場合、似たような写真を一括変換しやすいからです。
BridgeでのレタッチはLightroomにも反映されます。RAWデータの場合は、修正内容を画像ごとに別ファイルに書き込むこともできるので、自分のレタッチ内容を他の人に引き継いでもらうこともできます。
撮影時に気を付けること
レタッチで、色々と変更はできますが、万能ではありません。撮影時にやらなければいけないこともあります。例えば、以下のこと。
見せたい場所にピントを合わせる。見せたい範囲の被写界深度になるように絞りを設定する。イメージが伝わる明るさや色味になるように、露出やWBを設定する。ストロボ光が適切に回り込む光量やシャッタースピードに設定する。
撮影時にできることは、できる限りおこなって、レタッチでしかできないことをレタッチでやるようにします。あとで修正するつもり、レタッチの範囲を超えてしまうと、結果として画質を落としてしまうこともあります。
<補足>
上記は、プロカメラマンの現場でを想定しています。カメラマンによっては、さらに厳しい条件を付加して、撮影時のクオリティを上げている方もいます。設定に自信がない、もしくは経験が十分でない方は、最初はオート機能を上手に使いこなしましょう。そして、オートでは追い込めない設定をマニュアルで設定していくようにしましょう。場合によっては、下手にマニュアルで設定するよりも、オートを使った方が後で修正できる場合もあります。
アルバム業者に依頼されて撮影する場合は?
色々書きましたが、依頼されて撮影する場合、レタッチなしの撮ってだしのデータを納品する場合もあります。これは、その会社としての色や写真でお客さんに見せているからです。
撮影だけでなく、卒業アルバムの制作まで行っている会社では、このような傾向があると思います。カメラマンによって、写真の雰囲気が変わってしまうと困りますので。
最後に
いかがでしたか?レタッチについて、色々な方が色々な見解でシェアされていますが、私が思うレタッチはこんな感じです。
子どものレタッチは「ママの頭の中を再現する」
「うちの子は、なんて可愛いんだろう!」「やっぱりうちの子最高!」という写真がとれた時は、カメラマンも最高ですね。